美術館について
マークとロゴタイプについて
まず大きな考え方として、ロゴやマークは「表現」するものではなく、そこにある文脈やそこに来る人の時間を「支える」ものであってほしい、ということがあります。
美術館の建屋、軽井沢に流れている空気、そしてフジタの作品がたずさえている世界。それらを「表現」しようとするのではなく「みちびく」「邪魔しない」「ちょっとイイ感じがする」「あー丁寧にもてなされているな」といった形で感じとってもらう「経験の符丁」となってほしいと思っています。
今回は「モノグラム」という伝統的だけれども、古くならない手法でアイディアを考えてみました。
モノグラムは名称のイニシャルを用いて活動体のアイコンとするものです。Musée AndoのMとA。この2つの文字をエレメントとして、マークを中心にアイディアを作ってみました。
マークは、Bタイプに決定。その後、ロゴタイプは、マークと同じく幾何学的な比率を基軸として、ブラッシュアップを行いました。
ロゴタイプの基礎にしていた書体は「Neutraface2」で、幾何学的な規律に基づいて設計されています。
また、「Neutraface2」は「a」の形状が正式表記で、さらに、下の丸部分の上辺が水平になっており、「Musée」の「ée」の水平のラインと合わせることができるからです。
「Neutraface2」の良さを保ちながら、もっとシビアに幾何学的規律に則ってブラッシュアップしました。小文字の比率や「M/A/K」の大文字の幅も 正方形を分割して新たに算出しなおして、等幅の線によって再構築しています。
マークとロゴを同じ線幅と同じ設計思想で表現することで、よりコンセプトがクッキリしたと思います。
その後、日本語のロゴタイプの作成をしました。
日本語のロゴタイプも、マークや仏文字のロゴタイプと同様な幾何学的規律に則って、デザインされています。
M と A のモノグラムで、軽井沢の山並や木立を表し、フジタ作品だけの美術館らしい、正統でありながら、モダンさをもち、チャーミングさもあるマーク / ロゴタイプが出来たと思います。
アートディレクター 寄藤 文平
マークやロゴタイプは美術館の顔です。
軽井沢安東美術館の館内サイン、チラシやポスターなどの販促物、またグッズや手提げ袋などにも、このマークやロゴタイプが生かされています。マークが生きるようなピクトグラムや書体で統一されています。
クリエイティブディレクター 會澤 浩
アートディレクター 佐々木 宏二
アートディレクター 小島 千恵子