展覧会・イベント
1周年記念特別企画「ようこそ藤田嗣治のお家へ」
–展覧会概要
藤田嗣治だけを収蔵・展示する美術館として、2022年10月に軽井沢安東美術館が誕生してから、1周年を迎えます。開館以来、名作《猫の教室》(1949年)や貴重な乳白色の裸婦《腕を上げた裸婦》(1924年)などが新たに加わり、開館当初よりもさらにコレクションは充実し、今現在も増え続けています。
開館1周年を記念した本展企画のタイトルは「ようこそ藤田嗣治のお家へ」。当館創立者の安東泰志・恵夫妻が自宅の壁一面に藤田をかけて家族の歴史とともに慈しんできたように、1周年を記念した特別展示として、200点を超すコレクションから、圧倒的な規模感でご覧いただけます。
初公開作品として、猫が寄り添う自身の姿を描いた《猫のいる自画像》(1926年)、藤田に多大な影響を与えたといわれるマドレーヌ・ルクーがモデルとなった《婦人像》(1932年)、戦後の藤田の心情を知ることができる《除悪魔 精進行》(1952年)、そして藤田の最後の住処となったヴィリエ=ル=バクルの家に飾られていた飾り絵皿《猫のキリスト》(1958年)などをご紹介いたします。
また、全館を通じて初期から晩年までの藤田の人生を辿るほか、時代ごと、アトリエや自宅などで過ごすプライベートな藤田の姿も紹介致します。君代夫人の関係者から寄贈されたプライベート写真も10数枚、初公開します。藤田嗣治に会いに、是非、軽井沢安東美術館へお越し下さい。
寄贈いただいた藤田夫妻の遺品のご紹介
当館は、戦時中に記録された、藤田嗣治の貴重な自筆の手帳など、貴重な藤田夫妻の遺品を、君代夫人関係者から寄贈いただきました。それらの遺品について、現在、当館では調査をすすめています。今回の展覧会では、それらの中から、藤田夫妻のプライベートな素顔を写し撮った写真10数枚を初公開致します。ヴィリエ=ル=バクルの家で君代夫人とともに寛いでいる藤田の貴重な姿をご紹介いたします。
初公開作品のご紹介
1周年記念特別企画では、200点を超す当館コレクションから、圧倒的な規模感で展示作品をご覧いただけます。新たに加わった初公開作品の数々から、主な出展作品をご紹介します。ぜひ会場でご覧ください。
※著作権の関係により、いくつかの画像の掲載サイズが、32400px以下の小さなサイズでの掲載となっております。
- 《猫のいる自画像》1926年 コロタイプ・紙
- 生涯において、藤田は多彩な自画像を描いた作家ですが、とくに1920年代後半に描かれた自画像の多くには、上向きに顎を突き出し、牙をわずかに1本だけ見せるキジトラの猫の姿が寄り添っています。「サインがわりに猫を描くこともある」と本人が語っているように、藤田にとって猫はもっとも身近で親密な存在でした。新しく当館コレクションに加わったこの《猫のいる自画像》からも、そんな一人と一匹の、愛情に満ちた関係が伝わってきます。
展示室:展示室2(緑の部屋)
- 《婦人像》1932年 水彩、墨・紙
- 藤田のモデルとして多くの作品に登場するマドレーヌ・ルクー。1931年10月、藤田は出会ってまもないマドレーヌを連れて中南米に旅立ちます。この作品はそんな道中に描かれたもので、当時、25歳だったマドレーヌの愛らしさと美しさが絶妙に表現されています。マドレーヌを見つめる藤田の温かいまなざしが感じられる作品といえるでしょう。
展示室:展示室3(黄色の部屋)
- 《除悪魔 精進行》1952年 油彩・ガラス
- 戦後、戦争責任をめぐる問題に翻弄された藤田は日本を去ることを決意、1950年、再びフランスへ戻ってきました。この作品はそれから2年後の1952年に制作されたもの。ここには、「ゴシップ」「からかい」「嫉妬」に苦悩した藤田がパリへと渡り、「財もない」「アトリエもない」「名誉もない」自身に「私に力を与えよ」と跪き、天を仰ぐ姿が描かれています。当時の藤田の心情を知ることができる貴重な作品といえるでしょう。
展示室:展示室4(青の部屋)
- 《猫のキリスト》1958年 陶製(マドゥーラ工房)
- 本作品は、藤田が人生最後の8年間を過ごしたヴィリエ=ル=バクルの家に飾られていた陶製の飾り絵皿です。壁掛け用の針金細工も、当時、藤田自身が施したものと思われます。また作品の裏面には、ピカソの陶器作品を一手に製作していたことで名高いマドゥーラ工房の刻印が入っています。
展示室:屋根裏展示室
開催概要
会期 | ~ |
---|