コレクション
コレクションについて
多くの日本企業の再生に携わってきた代表理事の安東泰志と妻・恵夫妻が長年蒐集し、自邸に飾って慈しんできた藤田嗣治の作品約200点を所蔵する軽井沢安東美術館。そのスタートは、安東夫妻が軽井沢の画廊で手にした一枚の版画でした。そこに描かれた可愛らしい猫に心惹かれて、コレクションの形成が始まりました。
藤田が生涯描き続けたモティーフの「少女」「猫」「聖母子」の絵画を中心に、初期の貴重な風景画や藤田の代名詞ともいえる乳白色の裸婦、画家みずから装飾をほどこした家具や食器といった手仕事まで、藤田の作品だけを常設展示する日本ではじめての個人美術館です。
「少女」や「猫」など“かわいい“絵たちと向き合う時間が安東夫妻のこの上ない癒しとなり、コレクションの中核をなしていった。
安東夫妻による、藤田嗣治コレクションがはじまった記念すべき1点
主なコレクション
展示室2渡仏~スタイルの模索から乳白色の下地へ
1913年にフランスに渡った藤田は、さまざまなスタイルを模索しながら、やがてヨーロッパ中を席巻した「素晴らしき乳白色の下地」を完成させます。ここでは安東コレクションのなかでもとくに初期の作品を中心に、渡仏後のパリを描いた風景画や、藤田の代名詞とも言える透き通るような「乳白色の下地」による裸婦、晩年につながる宗教や子どもをモティーフとした肖像画など、貴重な作品の数々を展示します。
展示室3旅する画家~中南米、日本、ニューヨーク
1931年、藤田は新しい恋人のマドレーヌを伴い、パリを離れて中南米へと向かいます。ヨーロッパ人ともアジア人ともちがう陰影に富んだ風貌と現地の色彩豊かな風俗にすっかり魅せられて、その画面を彩る筆致と色彩は変貌をとげることになりました。ここでは、旅をテーマにした作品とともに、その後日本に帰国して、近づく戦争の足音に呼応するように時代の激流に巻き込まれていく藤田の足跡を紹介します。
展示室4ふたたびパリへ ~ 信 仰への道
1950年、ニューヨーク経由でフランスに戻った藤田は、懐かしいパリの風景や少女たちの絵を描きはじめます。戦争による挫折を味わい、二度と日本には戻らないと決意した藤田が選んだのは、フランス人レオナール・フジタとして生きる道でした。画題はやがて無垢なる少女から清らかな聖女、あたかもイコンのような聖母子像へと変わっていきます。安東コレクションのクライマックスともいえる、荘厳で静謐な宗教画の世界を紹介します。
展示室5少女と猫の世界
安東コレクションのスタートは、安東夫妻が手にした一枚の版画でした。そこに描かれた可愛らしい猫に心惹かれて、コレクションの形成が始まりました。「少女」と「猫」がずらりと並んだこの部屋は、まさに美術館のコンセプトでもある「安東邸を再現」した展示室です。座り心地の良いソファでくつろぎ、藤田の作品をゆっくり鑑賞していただきたい — そんな安東夫妻の長年の想いが実現しました。
自宅のような美術館
当館に所蔵される藤田作品は、安東夫妻が六本木と小金井にある自宅の壁にかけ、日々愛でてきた作品です。自宅でいつくしんできた藤田の作品をくつろいだ環境で観ていただきたい。当館は、その安東夫妻の想いが実現したものです。英国製の赤レンガをまとった建物に、中庭を巡るように展示室が配置され、それぞれの部屋を特徴づける緑や黄や青、赤色の壁紙とともに安東邸を再現するコンセプトで構成されています。